圧力の要

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    2018 3月 05, 09:00 CEST

    クラス最高の油圧ピストンシール群の開発に迫られたSKFエンジニアチーム、新材料を自社開発したうえで高度な分析技術を適用

    2018年3月5日、スウェーデン、ヨーテボリ: ピストンシールは、油圧シリンダーの性能の要です。 ピストン外径の溝に取り付けられているこのシールは、シリンダーに沿って動くピストンの運動を妨げることなく、高圧の作動油を保持しなければなりません。 また、油圧ピストンの多くは双方向に運動するため、シールはどちらの側からの圧力にも対応しなければなりません。 ピストンシールのデザインに当たっては、エンジニアは摩擦とシール性能との絶妙なバランスを維持することが求められます。 シリンダーの高圧側から低圧側へ不要な作動油が漏れを起こすシールは、性能が良くありません。 一方で、シリンダー内壁の摩擦が大きすぎると、摩耗が早まって実用寿命が短くなります。 ブローバイと呼ばれるピストンシールの明らかな不具合は、建設機械やマテリアルハンドリング設備が負荷の制御不能に陥る原因になり得るなど、運転上および安全上の重大な意味を持つ場合もあります。

    また、基本的な運転要件がそれほど厳しくなかったとしても、高温・高圧の作動油はシール材料に対して大きな負担であり、その他のコンポーネントが運転中に膨張したり収縮したりする原因ともなりかねないため、ピストンシールのデザインには材料面でもハイレベルなエンジニアリングが求められます。

    このような要求を満たすため、たびたび選ばれる材料が、PTFEです。 PTFEは帯電性と滑り摩擦特性が極めて低く、耐薬品性に優れているなど、この役割に適した特性を多く備えています。 しかし、PTFEには重要な制限もあります。 この材料はとりわけ弾力性に制限があるため、PTFEシールを傷つけずに取り付けるのが困難です。 PTFEシールは取り付け前に特殊なスリーブで伸ばしておき、後で正しい直径に補正する必要があります。これは、設備機器メーカーやメンテナンスチームなどにとって、余計な時間とコストがかかる工程です。 さらに、PTFEの可塑性は、負荷の方向が連続的に逆転する条件下で元の形状に戻りにくい材料であるため、シール性能も制限されることになります。

    このようなPTFEシールの不利を克服するべく、SKFのエンジニアチームは自社の実績あるECOPURポリウレタン材料をベースに、代替となるシール技術の開発に乗り出しました。

    最高のPTFEシールの性能に匹敵するようなポリウレタンシールを構築する難しさは並大抵ではなかった、とSKFの作動油シール戦略的製品ラインの研究開発長Wolfgang Sweteは振り返ります。 「ピストンとシリンダー内壁間のはみだしすき間が大きいため、作動条件全域において形状を保持できるような耐はみだし特性を十分に持つ材料が必要でした。」

    SKFは自社最高強度等級のEcopurポリウレタンで製造したプロトタイプシールで試験を実施しましたが、このシールでは要求を満たすことはできませんでした。 そこで、社内の材料開発・製造能力を活かして、ピストンシール用途に特化した特殊等級のEcopurを作ることにしたのです。 この新材料 – X-Ecopur PS – は、現在までにSKFが製造したポリウレタンの中で、最高の等級となっています。

    新材料の耐久性を試験するため、SKFは一連の静的耐圧試験を実施しました。材料サンプルを治具に取り付けて500バールのオイルで負荷をかけ、0.15 ~ 0.7mmとサイズの異なるはみだし隙間から材料を押し出す試みです。試験サンプルは60 ~ 100º Cという温度条件下で2週間治具の中に置かれ、試験終了時にサンプルの永久変形が測定されました。 「X-Ecopur PSは、行った試験の全域において、現在市販されている代替品よりはるかに優れた性能を示しました」とSweteは述べています。

    優れた材料が出来上がると、SKFチームは適切なシール形状の設計に取りかかりました。 これは、有限要素法を用いた総合的なコンピューターシミュレーションや、CNC工作機械を用いた迅速なプロトタイプ開発、カスタム仕様の静的および動的試験設備による物理的試験などを取り入れた、製品開発プロセスを十分に確立させている当社のエンジニアにとっては、おなじみの領域です。

    このようなプロセスを繰り返したのち、SKFはついに最終的なデザインにたどり着きました。ポリウレタン製スライドリングの外面形状が平たい「M」字形になっていて、綿密に最適化されたシールリップが2つ備わったデザインです。 Sweteはさらに続けます。「密封ポイントがはっきりしたシール形状によって、平面よりも密封効果が高まります。シール性能は向上していますし、シールによって生まれる摩擦抵抗も削減できました。 また、密封力を1つではなく2つのエッジに集中させることで、早期不具合の原因になりかねない使用中のシールの傾きを抑制する効果が期待できます。」

    さらに、新しいシール群のデザインの完成には、シールエナジャイザーの動きの細かな修正も必要でした。 これは柔らかいゴム部品で、ピストン溝内に装着されたポリウレタン製スライドリングのさらに内径側にあり、シリンダーの内壁にグライドリングを押し付ける役割を担います。 負荷の軽いシールであればシンプルなOリングがエナジャイザーとなりますが、中~重程度の負荷には特殊形状のニトリルゴムのエナジャイザーが使用されます。

    SKFの新デザインでは、スライドリングの両側面に通気孔を設け、エナジャイザーへの適切な与圧を確保しました。 これによって、圧力がかかる方向の変化に伴ってシールは速やかに位置を変えることができ、ブローバイおよびシリンダー機能損失の可能性を低減します。 また、スライドリングが溝側面に対して密封する際に発生する圧力障害もシリンダーの機能損失を招きかねないので、側面の通気孔によって圧力障害の発生を抑えます。

    デザインの検証を行うため、プロトタイプのシールにさらに過酷な試験を実施しました。400 mmの試験用シリンダーを用い、最大圧力250バール、温度80 ºCという条件下で200 km超に及ぶ上下運動を行いました。 試験中に摩擦と漏れが測定され、試験後はシールの測定とはみだし量や表面磨耗の精査が行われました。 「この試験によって、SKFの新しいシールが市販の代替品より優れた性能を提供することが明らかになりました。」とSweteは言います。 実に、比較のためにベンチマークとして用意したシールの中には、試験プロセスが終了する前に不具合を呈したものもあったほどです。」

    このようにして、SKFは自社開発の革新的なピストンシールデザインを、幅広い油圧アプリケーションに対応できる優れた製品へと発展させました。 Oリングアクチュエータを用いた軽負荷用のLPV製品群は、製造機械など屋内の定置式機械向きです。 このタイプのシールは、最大圧力250バール、最大速度毎秒0.5 m、温度範囲 -20 ~ 100º Cに適します。中~重負荷用のMPV製品群は、農業用および建築用などの可動機械にあるような、より要求の厳しいアプリケーション向きとなっています。 メートル寸法のハウジングに適合するサイズのMPVシールは、最大圧力400バール、最大速度毎秒1 m、温度範囲-20 ~ 110º Cに適します。3番目のタイプのシール群(呼び番号DPV)はMPV製品群と動作仕様は同じですが、インチ系のハウジング用となっています。

    Sweteは最後に次のように述べています。「満足しているのは、その他のポリウレタン製代替品より長持ちするピストンシールを開発したことだけではありません。 優れたPTFEシールと少なくとも同様の性能を持ち、さらに、素早く簡単に取り付けられるという、機器メーカーやメンテナンス担当の皆さまに喜んでいただける利点も付加することができました。」

    Aktiebolaget SKF
    (publ)

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    SKFは軸受やシール、メカトロニクス、潤滑システムのほかに、技術サポートや保守・信頼性サービス、技術コンサルタント・研修を含むサービスのグローバル・サプライヤーです。 SKFは130カ国以上に拠点を配置し、世界中に約17,000の代理店を展開しています。 2017年度の年間売上高は779億3800万スウェーデンクローナ、従業員数は45,678人です。www.skf.com

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